どうしても触れたくない / 著・ヨネダコウ / 大洋図書（ミリオンコミックス）

…なんか変なコトしたくなるよ、お前…　新しい職場に初めて出社した日、
嶋はエレベーターで二日酔いの男と一緒になる。
それが、新しい上司・外川との出会いだった。無遠慮で図々しいように見えて、
気遣いを忘れない外川に惹かれる嶋だが、傷ついた過去の経験から、
一歩を踏み出せずにいる。一方、忘れることのできない記憶を抱えながらも
外川は傷つくことを恐れず、嶋を想う心を隠さない。好きだけど、
素直にはなれない……　不器用な想いの行方は？
＜大洋図書公式ページより抜粋＞

至るところで絶賛されているこのコミックス。
私も期待しつつ少し遅れて読みましたけど、期待以上の作品でした。
実際、上司×部下のフツーのリーマンモノって言ってしまえばそうなんですけど、
受け、攻め共々の心情描写が細かくそれがあまりに切なく泣けました。
たまにＢＬ読んで泣くっていうことありますけど、
これは泣きＢＬ漫画として今のところトップに入れていいかもしれない。
受けの嶋は上司の外川と体の関係から入るんですけど、
とにかく外川のことが好きなんでしょう。それでも、絶対にそのことは
口にしないで苦しく押し黙ってるんです。外川は嶋が好きだから、
「好きだ」と素直に言ってもそれを拒絶するようなことしかできなくて。
はっきりしろよ！！とかそーゆうことを思えるような感じじゃなくて、
切なくて見てて痛くて、それでも二人はお互い幸せになる権利があるから、
嶋が外川に素直に想いを伝えられるようになるよう願ってしまいます。
切なくて感情移入なんかできたもんじゃないです。
遠くに行ってしまった外川を思って嶋が泣いたシーンはかなりキた。
ああ、好きな人を想うってこーゆうことなんだ、と思えました。
読み終わった後の安堵感？というか、自然と笑みがこぼれる感じ。
まぁヨネダコウさん、初コミックスで大作出したなぁ、すごい。
読んでる人多いと思いますけど、もし読んでない方がいたら、
まずハズレではないとオススメしたい一作です。
絵も綺麗です。特に言うことはないんですけど、強いて言えば、
小野田のその後が気になる・・・。受けがめっちゃ好みでしたー。

★★★★★

教師も色々あるわけで / 著・大和名瀬 / リブレ出版（BE×BOY COMICS）

２年２組の子供たちに毎日毎日振り回されて、
マジメだけがとりえの古森先生は凹み気味。
隣の組の多岐川先生のスマートさに劣等感を抱いていたが、
彼の悩みを偶然知ってしまい…。大人気の熱血センセイ連載がコミックス化！
予備校の先生のお話、「教師の告白」も収録v
＜リブレ出版公式ページより抜粋＞

先生×先生モノ。よくよく考えたら名瀬さんの作品買うの初めてかもです。
読むのは多分初めてではない・・・ハズ。あんまり暗い話を読みたくなかったので、
表紙をみて「おっ、明るい話っぽい」って思って買った記憶があります。
思った通り、内容は新米教師のわいわいがやがやコメディ交じりのお話でした。
受けの古森先生が一生懸命になりすぎてから回っちゃうタイプの先生。
一方隣のクラスの多岐川先生は子供の扱いもしっかりできたパーフェクト先生。
正反対の二人ですが、古森先生が頑張ってる姿に惚れたのか、
多岐川先生はクサい台詞をバンバン吐きながら古森を落としにかかってます。
多岐川先生はいたって真面目くんなので、強引なことはせず誠実に古森と
向き合ってます。私は台詞がクサい攻めがちと苦手なんですけどね・・・。
ただ、敬語攻めはよかったですね！敬語攻め万歳！
でも、なんで小学校教師だったんでしょうか。高校教師とかの方が、
横から入り込むイケメン生徒の当て馬的展開とかあっただろうに（笑）
同時収録の作品では予備校の先生×生徒のお話がありました。
短編ながらもよくまとまっていたと思います。どうにもこうにも、
名瀬さんが描く攻めってかっこつけっぽいのばっかりだと思うのは、
私の気のせいですかね・・・？

★★★☆☆

死ぬほど好き / 著・山田ユギ / 竹書房（BAMBOO COMICS）

卒業まであと半年、江藤は一緒にいられる時間があと僅かなことに焦り思わず
親友の柳に告白するがアッサリ降られてしまった。そのまま疎遠になる運命のハズが
卒業式を一ヶ月に控えた早朝の電車の中、偶然の出会いがふたりを待っていた。
柳の連れの幼馴染み・里村裕に誘われるまま、一緒に列車の旅をすることになった
江藤と柳だったが…!?親友に恋してしまった普通の高校生の想いを瑞々しく
描いた表題シリーズ他、読み切り4編と描き下ろしを収録した胸キュンを
軽妙酒脱に描いた著者の魅力満載な最新作品集!!
＜竹書房公式ページより抜粋＞

短編集・全５編収録。
相変わらずユギさん、いい味出してます。表題作は同級モノ、
その他は部下×上司、後輩×先輩、腐れ縁な二人、高校生×リーマンです。
全体的に年下攻めが多い一冊になっています。
個人的には表題作よりも、他の作品の方が私は気に入っています。
部下×上司とか、受けの上司のキャラが物凄く好き、あの覇気のなさ！
高校生×リーマンの話でもサカりな高校生と落ち着いたリーマンのカップリングが
よかったです。受けと攻めのギャップを上手く使いこなしてます。
ただギャップを付けるだけじゃなくて、性格を利用して絡みシーンも
激しくしたり、あるいはラブラブにしてみたりとか。
絡みシーンはもしかしたら無理矢理なのの方が多いのかもしれないんですけど、
愛のある無理矢理さってのをユギさんは熟知してますよねーそこ好きだなぁ。
あと・・・ユギさんの描く眼鏡受けってめちゃくちゃいいね。
ちなみに、高校生×リーマンの話は最後リバってました。
あそこでリバっていう意外性。あのリバめちゃめちゃキましたね。リバ大好き。

★★★★☆（＋半分）

まるで初めての恋みたいに / 著・ユキムラ / 角川書店（ASUKA COMICS CL-DX）

上がり症の金庫セールスマン河野が出会ったのは仏頂面の建築家伊藤でーー。
他敏腕編集者とカメラマンのビターロマンティックラブ、
熱血部長と純情部下のスィートラブなど働く男のラブ満載！
＜角川書店公式ページより抜粋＞

全体を通して、リーマン率１００％のお話です。
３つお話が収録されていますが、全てが働く男がメインの作品。
表題作はやり手（だけどちょっと抜けてる）建築デザイナーと、
上がり症な営業マンのお話。攻めのデザイナーが眼鏡でかっこいいと思ったが、
なんかいきなり立膝とかついちゃって、すごい面白かったです。抜けてる眼鏡だ。
当て馬キャラっぽいのも出てきましたが、これもなんかウケた。
全体的にちょっとアホっぽい雰囲気が面白かったですねー。バカップルっぽいし！
二作目は編集×カメラマンのお話。これは結構シリアスっぽかったです。
表題作とのギャップがまた楽しめました。
三作目は会社の上司×部下です。これはまた明るい感じのお話。
私は結構このお話が好きでしたね、もどかしい感じとかが。
全体的にエロは温いですが、短編集なのにリーマン率１００％っていう漫画も
珍しいと思います。ほんわか、可愛い感じのお話がいっぱいです。

★★★☆☆

ジェラールとジャック 2 / 著・よしながふみ / リブレ出版（SUPER BBC）

貴族の少年ジャックの「初めての男」で、現在は雇い主となった小説家ジェラール。
過去の出来事から貴族を憎み、心を閉ざしていたジェラールだったが、
ジャックの成長を見守るその“想い”は果たして──。
革命期の激動の中、展開されるドラマティックロマン、完結編新装版、登場!!
＜リブレ出版公式ページより抜粋＞

折角なので二巻も紹介しちゃいます。
二巻では完全に大人ジャックとジェラールのお話でした。
私は大人ジャックがかっこいいし可愛いしですんごい好きなので色々ツボ。
ジャックがかなりジェラールを意識し始めているのに、
ジャックは他の男に犯されたり、危うくジャックまで巻き込まれそうになったりと、
展開的にはゴタゴタしてるけど読み手としては面白い場面ばかりでした。
クライマックスに進むにつれ、フランス情勢のことが関わってきて、
意図的に正史に近づけたかどうかはわかりませんが、自然な流れがよかった。
ハッピーエンドは無理なんだろうかとハラハラさせつつも、
最後にはジェラールとジャックがお互いに想い合えたこととか最高ですよ。
私は、この漫画でとにかく好きなのは最後のえっちシーンなんですよ。
最後のえっちしーんでジェラールがジャックに「愛してる」と連呼するのが、
物凄く好きでめちゃめちゃぐーっとキました。途中途中色っぽいシーンはあったけど、
ラストが一番好きですね。もうホント、ああこの二人最高だ！って思ったー。
あとは、ジャックの告白シーンとかも大好きですね。
ジェラールの小説とかはギャグ要素として受け取りました、面白い・・・！
よしながさん、結構エロいエロスをお描きになられる・・・！ナニが素敵だ。
ジェラールのフェラがなんともいやらしい！ああ、よしながさんハマりそう。
ジェラールかっこいい・・・。ジャックも凄い好きだー。

★★★★★

ジェラールとジャック 1 / 著・よしながふみ / リブレ出版（SUPER BBC）

借金の形に男娼館に売られた誇り高き貴族の少年ジャック。
「初めての客」となったのは銀髪隻眼の男・ジェラールだった。
偶然、ジェラールの屋敷で働くことになったジャックは、自分の手で何かを
為す喜びと様々な知識をジェラールから得て、強く美しく成長していく──。
革命期の激動のフランスを舞台に展開される不朽のドラマティックロマン新装版登場！
＜リブレ出版公式ページより抜粋＞

ああ、面白い。これは面白い。かなり絶賛の様子だったので、
私も買ってみましたけど、やっぱり多くの人に受け入れられてる漫画は面白いんだ。
よしながふみさんってホントすげぇな、と思いましたね。
二巻完結でこれは一巻なんですけど、読み始めからかなり引き込まれました。
二巻の間でだいぶ時間軸が変わるんですけど、一巻の段階では、元貴族の
ジャックはまだ十代の子供のシーンが多いですね。一巻途中から大人になります。
中世（？）のフランス貴族の様子とかも忠実でした（服とか容姿とか）
ジェラールは男娼好きな、言ってしまえばヤリチンみたいな男なんですけど、
すごーく素敵。男前だし、いい性格してるし、みんなに優しいし。
一巻後半ではジェラールの過去についてのお話が描かれていました。
男×男×女の３Ｐですよ。ＢＬ漫画じゃあんまり見られない展開でしたね。
ここはコミカルに、ここはシリアスに、ここはエロく、ここは切なく！
みたいな感じで、もう色々極めてる気がしました。
そーゆうキリキリとした話の流れが好みでした。内容が凄く濃くて素敵なんだよな。

★★★★★